●2022_0420 第31回「みどりの文化賞」に林業家(育林業)の池谷キワ子氏

第31回「みどりの文化賞」に林業家(育林業)の池谷キワ子氏が受賞
 家業を継承した頃から、材価の下落と伐出費の高騰、現状を反映しない相続税評価、度重なる自然災害などに苦しんだが、一方で、氏は、生命の宝庫である森林において、樹木の価値や樹木を育てることの意義を広く知ってもらうため、自らの所有森林を一般市民に開放し、自らガイドしながら、早くから市民参加による森林整備の重要性を訴え続けてきた。また、所有森林を市民グループの活動の場として開放し、30年近く共に作業している。このような地道な取り組みが、東京都のみならず国内における市民参加による森林づくりの発展の基礎を築き、市民グループ育成のきっかけともなっている。

 氏は、育成途上の森林のことを、成人してもお金を稼がない「道楽息子」のようだ、と例えるが、一方で、「森林は、誰にも真似のできない人々に住み心地の良い環境を作り出す才能を秘めている」という。自らの肩書き「育林業」には、森を育てていくためには、森林所有者のみの力ではなしえず、森林ボランティアグループの助けを借りながら、伝統的な林業技術を習得し伝承したいという彼らにベテランの作業員が指導していく環境を整え、さらに作業員も自身の仕事に誇りと価値を見いだすという循環を作り出すことが重要である、という信念が含まれており、このことを通じて自身も有形無形の励ましをもらってきたという。

 そして、自らのお名前の「キワ子」を「木は子」と説明しており、今でも次世代を担う子供たちや一般市民に対して、女性や母の視点から貴重なメッセージを発信し続けており、更なる活躍が期待されている。