●2022_0627 全木連の第13代会長・菅野康則氏に聞く

「伐って使う」と「植えて育てる」を関連団体と連携しながら…
全木連の第13代会長・菅野康則氏に聞く
 菅野康則会長―新型コロナ禍ならびにウッドショック、ロシアのウクライナ侵攻など、業界を取り巻く情勢が目まぐるしく変化している中、この度の全木連会長職の拝命は身の引き締まる思いだ。「都市の木造化推進法」が施行され、全木連としてはその具体的な実現に向けて川上~川下が一体となった取り組みを行なっていきたい。木材産業発展のために精一杯務めていく所存だ。
 様々な情勢の変化により国内木材産業は必死に供給面を支えようと努力しているが、短期的には、需給バランスが崩れてしまっていることが問題。我々は供給面からのバランスを取っていかなければならない。長期的には、もっともっと森林活用と木材利用に取り組み、現在の自給率40%超を更に上げていく必要があるだろう。
 一方で、過去の住宅産業関連、パルプ関連の需要だけで物事を判断できない時代になっている。森林・林業・木材産業としては、バイオマス発電などの新しい需要先を、木材需要の拡大の中でどのような位置付けで捉えていくのか、考えていく必要がある。
 松原正和会長―SDGsの観点からも、木材産業は最先端の仕事だ。地域の材を地域で消化してできるだけ輸送距離を短くすることは、間違いなく地域振興につながっていく。北海道では木材加工そのものが余り進んでいないので、付加価値をつけた製品づくりに重きを置いていきたい。同様に、本州でも更に高度な加工製品が増えて、例えばCLTなどが全国的にあたりまえの素材として使えるような状況を生み出したいと考えている。
 本郷浩二副会長―昨年度補正予算の中で、ウッドショックに対応した供給体制をととのえるために製材機や乾燥設備への支援を行なった。また、ロシア材から国産材転換による掛かり増し費用への対策費として予備費から40億円が充てられた。これは全木連から農林部会へ働きかけて実現できたもので、両方を併せて使ってやっていくべき課題だと思っている。
 菅野康則会長―全国の木材流通は、今やプレカット工場経由で需要の大半が動くようになり、従来の一般流通経路から変わってきている。プレカット工場がメインになることにより流通が保有するストックの割合が落ちて、従来に比べてストック能力が落ちてきている。流通のバッファ機能を高めていくことも、これから取り組むべき課題だと思っている。
 菅野康則会長―これまでは、需要なくして供給が整備されることはない、と、「伐って使う」ことに一所懸命、都市の木造化に力を入れて行なってきた。伐って使った後の「植えて育てる」までを行なって初めてカーボンニュートラルであり、それが循環型社会への道だ。全木連としてやるべき「伐って使う」と同時に、関連諸団体の方々と協力しながら「植えて育てる」に係わっていきたい。