■メーカー巡り
日本の誇る家具メーカーの名門飛騨産業を訪ねて

 中部木工機械記者クラブ有志数人による研修旅行の一環として、初夏の一刻を飛騨産業(株)本社工場の見学に 訪れた……とにかく永い歴史に培われ名門老舗家具メーカーとしての伝統と、「業と心意気」に洗練された特異 企業として名を馳せているのは皆さん周知の事実である。で我々を暖かく出迎えてくださったのは管理部部長の 北山庸夫氏と、技術部部長の板屋敏夫氏のお二人だ。挨拶と幾許かの情報交換の後、以下はさっそく板屋敏夫氏 から伺った現況説明と工場案内のあらましを取り纏めたものである。
(文責=編集部)


歴史ある名門企業の数々経緯を見る


 飛騨産業(株)の創業は古く1920(大正9)年8月だから既に88年を経ている。創業当時は「曲げ木の技術」を応用 して家具づくりに励む……地域周辺にそれ用の素材が豊富にあったからだ。
 まず会社の沿革を辿ってみよう。当初は東南アジアやアメリカへの輸出中心に進めてきた。すなわち
 ▼1923(大正12)年=中国・東南アジアへ輸出を開始
 ▼1935(昭和10)年=アメリカへ曲げ木椅子と折畳み椅子を輸出
 ▼1942(昭和17)年=軍需用飛行機の燃料補助タンク製造と木製飛行機の研究を開始
 ▼1945(昭和20)年=家具製造を再開
 ▼1949(昭和24)年=アメリカ輸出を再開
 ▼1960(昭和35)年=生産額の87%を輸出し、輸出貢献企業に表彰
 ▼1965(昭和40)年=暮しの手帖社・花森安治氏揮毫による「飛騨の家具」をロゴとして使用を開始
 ▼1966(昭和41)年=第1回ジャパンファニチャーショーでダイニングチェアー「No.725」が内閣総理大臣賞
  を受賞。パーソナルチェアー「No.713」がGマークに選定
 ▼1968(昭和43)年=ダイニングチェアー「No.725」がGマークに選定。皇居新宮殿「千鳥・千種の間」に黒
  田辰秋氏デザインの椅子・卓子・花台を製作納入。リビングセット「穂高」の生産を開始
 ▼1973(昭和48)年=対米輸出を中止して国内用家具のみに専念
 ▼1976(昭和51)年=ピエール・カルダンのライセンシーとなり新たな家具生産を開始
 ▼1979(昭和54)年=国産カラマツの実用化に成功し「フロンティア」として発売を開始
 ▼1983(昭和58)年=本格的ウィンザースタイルの「プロヴィンシャル」発売を開始
 ▼1984(昭和59)年=ダイニングチェアー「No.725」がGマーク・ロングライフデザイン賞を受賞
 ▼1988(昭和63)年=新しいウォンツ探索のため東京南青山に新会社「マノレジア」を設立
 ▼1990(平成2)年=福利厚生施設として「独身寮」と「キツツキ開館」を完成
 ▼1998(平成10)年=昭和43年発売のリビングセット「穂高」が50万台を達成
 ▼1999(平成11)年=世界に通用する飛騨デザイン創造のため「パリ国際家具見本市」に出展。新しい暮
  しの提案の具体化のため高山市に「飛騨の家具館」を開設
 ▼2000(平成12)年=東京春海のJIC内に「飛騨の家具館東京春海ショールーム」を開設。岐阜県環境配
  慮事業(E工場)として登録
 ▼2001(平成13)年=大阪南港WTCビル51階に「飛騨の家具館大阪WTCショールーム」を開設。「森のこ
  とば」と「セレーノ」を発表。国産スギ材使用の「里」を発表
 ▼2002(平成14)年=名古屋市新栄に「飛騨の家具館名古屋ショールーム」を開設。「森のことば・ライフチ
  ェアー」がGマークに選定
 ――以上やや詳しく沿革を見てきたが、社歴の長い日本を代表する老舗名門メーカーとして知られてきたが故 に、本誌読者各位も一応その推移を承知しておかれたほうが宜しかろう……。
 現在の資本金は3億円/従業員数は271名/年間販売額は31億円/本社・工場所在地は岐阜県高山市名田町1-82 -1、TEL 0577-32-1001


社長の新方針で資源活用徹底と受注生産方式に大転換
 造っている製品は飛騨地方の特産ともいわれる脚物家具すなわちリビングセット、ダイニングセット、ロッキ ングチェアーを初めとして、ベッド、サイドボード、インテリア小物が。その他にも収納家具、業務用家具、注 文家具、等々多岐に亘っている。つまり「伝統の心と技術を大切に受け継ぎ、顧客志向の物づくりを追求する本 物の家具メーカーを目指す」ことを会社方針としている。


 近年は国内の材料が非常に乏しくなり九割以上は海外材に依存している。アメリカ材や中国経由のロシア材が多 い。そうした中で2000年に現社長の岡田贊三氏が就任したが、新社長はそもそも家具業界とは全く関係ない分野 の出身だったため、材料の節など欠点部を捨てて顧みない旧来の家具製作の在り方に疑問を抱き、そうした端材 欠点材をも活かす家具づくり……資源を大切にする姿勢へと一大転換を図る。
 その手始めにアメリカ材ホワイトオークの「節を生かした家具づくり」が展開された。ところが環境への配慮 や省資源に繋がる時代性に適応したのか、今やこれが主力商品となっているから見事な先進性であった。
 更に昨今は国内の材料も有効に使おうと、スギ材の利用開発にも鋭意取り組んでいる。スギ材は周知のように 非常に軟らかい木なので、そのままチェアーやテーブルにはなかなか使えなかった。が家具にも向くようにと圧 縮技術を採り入れて製品化に成功。
 ということで近年は環境問題にも配慮し、資源を有効に利用するようスギ材は勿論のこと、節材のみならず端 材をも積極的に使っている……今はまだナラ材が主流ではあるが、スギの利用比率も上がってきている。
(続きは本誌ご購読にて)

戻る