■本邦の金物構法木造建築分野で文字どおり先覚者として、
開発普及に日夜邁進してきた木村一義氏と語り合う……
住宅の質を上げねば生活の質も上がらず、日本も良質な一流国家にはなれない
 当稿は別掲の「山形県の住宅デザイン街並み研修会」記事を補完するも のである。但し、この語り合いは去る8月10日、秋田市での「日本木材 学会第56回大会」を取材参画した帰路に山形市にも回り、久しぶりに(株) シェルターを訪れ、親しく木村一義氏に会った折の氏の語りの要旨の再現 であることをお断りしておく。また文中、木村氏の発言に対して(カッコ 付きゴシック文字)で表記した箇所は、本誌高島記者の発言を付け加えた ものであることもご承知おき願いたい。(文責=編集部)

 当社の「KES構法」のような接合金物を使った構造に対して余り好ま しくない名称で呼ぶ人がいますが、いっそのこと英語でいう「エンジニアー ド・ウッド・ストラクチャー」に統一して欲しかったと思うのですが、そ れでは日本語に馴染まないですし、「木構造」では広範囲に過ぎますので、 これだけ世上に普及してきている今こそ正しい名称が存在すべきではない でしょうか。
 当社は今年で創業33年目になり、現在の寒河江プレカット工場(以前 の本社工場)の事務所棟は仕口・継手に日本で最初(1974年)に接合 金物を使った合理化構法だったわけです。それ以前は補強金物といわれる 補助的な羽子板ボルトとか帯板金物とかカスガイ程度の物はありましたが、 要するに熟練大工の刻み仕事(すなわちブラックボックス)の根幹をなす 仕口・継手の箇所に、本格的な接合金物を使った構法は皆無だったのです。 したがって当社のKES構法は木造建築界に文字どおり「革命」をもたら せたのです。
 既に周知と思いますが「KES」は発案者である私キムラのK、エクセ レントのE、ストラクチャーのS、からの銘名です。
 (財)日本住宅・木材技術センターが主管した木造住宅合理化システム認定 事業(1989年第1回)の第1号に当社のKES構法が認定されたのは 周知のところですが、その後、北海道から九州に至る各主要都市でKES セミナーを通して普及活動を精力的に推進してきました。しかしそうした 経緯の裏側で類似の金物構法が3年後の住木センター第3回木造住宅合理 化システムに同様認定されたという件もあり、そのほか見様見真似としか 思えない類似金物構法が数多く出回ってきたのは実に迷惑でしたが、当社 だけでは世の中の隅々まで周知徹底させることは至難ですから、競合者の 派生をむしろ全体の底上げのためだと我慢し目を瞑ってきました(我慢し 難い特許侵害の四件だけは裁判にかけ勝訴と)。結果として現代の優れた 新しい木造建築は、金物構法だとなって世に定着してきたのは嬉しいこと でもあります。

(編集部)

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