全国木工機械工業会等木工関連13団体が、
住宅消費税廃止を求め政府・与党へ3回目の「要望書」を提出
■ 要望書

失われた10年からの脱出に当って
 2005年は1998年7月から下落した景気がマイナスから脱したこ とで、所得税と個人住民税の定率減税を2007年には全廃する方針が打ち出された。
 景気回復は民間部門のコスト削減、不良債権整理などのリストラによる 企業体質の改善に基づく利潤の増加であり、技術革新による生産性向上を 持続させる端緒を見出したに過ぎない。
 郵政改革が象徴するが如く「官から民へ」の資源移動の第一歩が始まっ たばかりであり、非効率な政府部門の改革が多々あり「市場化テスト法」 の制定が急がれる。
 財政再建という大義の下に国民の減税措置を整理・縮小するに当たって、 それ以前に歳出削減により財政健全化を徹底させなければならない。
 現時点の財政収支の改善は経済成長率を押上げる観点から成されなけ れば再建が阻害される要素に成りうるであろう。
 増税が連続的に実施されれば失われた10年が生かされる事なく、国民 生活を圧迫し、活力ある日本に向けてスタートラインについた矢先に失速 する危惧さえある。
 税制改革は直間比率の見直しが必要であり、消費税率引き上げは生鮮食 品の0〜3%の軽減税率、子育て減税や住宅消費税の撤廃を併せて行なわ なければG・D・Pは大幅に縮小する事になるであろう。
 社会保障費の目的税化もその範囲によっては、社会保障費の歳出削減を 硬直化させる虞もあるであろう。
 社会保障と密接に関係する高齢者の定義は国連が約50年前に提唱した 時代から、10歳以上平均寿命も長くなっている。
 2050年の高齢者割合(65歳以上)は39%、75歳以上に換算 すると23.5%に下がる(国立社会保障・人口問題研究所)。
 元気で意欲あるシルバー世代を「壮年」と位置付け、その知恵の集積が 社会活性化に貢献できるオールラウンドの社会構成が望まれる。

■ 住宅および住環境の社会インフラ整備

 我国にとって、2004年の大型台風による広範囲におよぶ河川の増水・ 氾濫と土砂災害は過去に例を見ないほど甚大にして壊滅的であった。 そして、同10月、日本列島を縦断した台風に前後して、震度7の地震が 新潟中越地方に発生した。
 社会資本の整備は台風、地震国として、国民の安全性、防災性・耐震性 の見地から税制の優遇があってしかるべきである。
 新耐震基準以前に建築された住宅の建替え・リフォーム等の促進や20 02年8月からスタートした住宅性能表示制度の充実・普及によって、耐 震・耐火・耐久・省エネ性の住宅建設促進が徹底されなければならない。 阪神・淡路大震災、新潟中越地震の倒壊住宅は新耐震基準以前に建設され たもので、住宅ストックの約1/2・2100万戸(平成10年住宅・土 地統計調査)が安全で安心な住宅および住環境の社会インフラの整備とし て国家的課題であろう。
 住宅関係予算総額のGDPに占める比率は、イギリス 1.48%、フ ランス 0.7%、アメリカ 0.34%、ドイツ 0.22%、日本 0.18 %と先進諸国中日本が最も低い。良質な住宅ストックを有する欧米諸国 に於いても、住宅政策に重点が置かれている。
 財政再建の大義の下に、国民にとって生活の基盤を成す「住宅」政策が 軽減されるような事があってはならない。
 我国の人口増加率は 0.11%と先進諸国と比較しても最も低く、出生 率の低下スピードが速く、現在の年金制度、勤労者世代と高齢者世代のバ ランスは完全に崩壊している。
 少子・高齢化時代を迎えるに当って、現在15才以上65才未満の生産 年齢人口を70才未満とする新しい雇用体系に移行し、年金支給年度を65 才に引上げ、シニアの社会的役割の増大を図らなければならない。 子育て支援、労働観(フリーター)、家族観、人生観に果たすシニア世代 の役割は重要である。

■ 少子・高齢化社会の到来

 21世紀は自然との共生(山と海)、子孫から子孫へと住み良い地球 を承継する為に、環境整備の見地から公平で生活し易い国民の立場に立っ た税制のあり方が検討されなければならない。
 「都市と農山漁村が共生・対流」し、都市と田舎の生活が共有出来る時 代、「二重生活を享楽できる時代」―(デュアルライフ、アナザーライ フ)、併せて「人、もの、情報」が循環する共通の社会基盤(プラットフォー ム)の整備が必要である。(武部 勤著・「夢楽づくり維新」より)
 少子・高齢化社会を迎えるに当って、お年寄りと子供が共に暮らす、温 もりのある家庭の再構築、それには二世代・三世代住宅、高齢者向け住宅 の整備が不可欠で、50年、100年といった長寿命かつ高品質な住宅ス トックの形成を目指すべきである。
 環境保全を図るに当って、省エネ住宅など良質な住宅ストックは産業廃 棄物を削減し、高品質な資材が住宅の耐久性を向上させ、産業構造の変革 をもたらします。
 高齢化社会の到来は快適な住宅と一体関係に位置する職場環境も改革し なければなりません。
 定年制度の改革により、退職するか延長するか本人に選択する自由を与 え、シルバー世代の経験に培われた知恵の集積を若者に受け継いでいく事 によって、ノウハウの断絶や流出を防ぐばかりでなく、日本本来の年長者 に対する儒教の精神も養う教育の場ともなります。
 高齢者の目的意識が生甲斐となり、経済を活性化させ、日本を明るく活 力とゆとりある社会にします。

■ 国の基盤に関する税制

 古代より日本は、「木」と「水」の里として、永々と営んでまいりまし た。
 日々の暮しの中で「木」は憩と癒を私達に与えてくれます。
 林業産業は、住宅産業と一体の関係に位置し、木造住宅・家具・建具は 環境問題の見地からも自然の営みに沿った産業であります。
 住宅産業の振興は、木材の量的需要拡大につながり、広範囲の雇用の創 出と製造業の空洞化を防ぎます。
 住環境から見た日本は決して豊かな国ではありません。
 平和産業の要として内需拡大と豊かな国民生活を築く事が21世紀の日 本の使命と心得ます。
 住宅建築は、木材、建材、家具、セメント、鉄、アルミサッシ、ガラス、 金物、厨房・洗面備品、電化製品、インテリア備品等々あらゆる産業にシ ナジー効果をもたらします。
 都市住宅学会の試算によりますと、住宅は投資一に対して1.495の 乗数効果があり、公共投資の1.345より10ポイント以上もシナジー があります。
 住宅が10万戸増加すれば、26万人の雇用が創出されます。
 現行の住宅減税の様に、景気を一時的に刺激する時限的政策では、国民 の購買時期の選択肢を狂わせ、強いては日本経済全般にとっても、足腰の 弱い政策となります。
 期間が限定されている面で、控除期間終了後の経済環境に悪影響を及ぼ します。
 住宅という国民すべての「夢の実現」を達成する、国の基盤に関する税 制とする認識が大事であります。
 『すべての日本の家族のために良質な住宅と居住環境を提供するこ と』の目標のもと、長期の視点にたった「住宅税制」に改革しなくて はなりません。

― 内需の柱としての住宅政策の提案 ―

一. 住宅消費税の廃止

 時限立法としての住宅ローン減税は「駆け込み需要」として景気対策に 大きな効果をもたらします。
 しかしながら、控除適用期間終了後の経済環境に及ぼす悪影響はその比 ではありません。
 期間が限定されている面から、国民の購買時期の選択肢も狂わせ、経済 全般にとって、雇用不安、不況、倒産を引き起こします。
 又、税の公平の見地からも考察されなければなりません。 年金負担は企業・家計の双方にとって、今後企業活力や社会エネルギーを 奪うことになります。
 2005年は活力ある日本を取り戻す本来の意味での正念場を迎える事 になります。
 全ての国民は住宅を生活の場として日々暮らしており、耐震・耐火・耐 久・省エネ・バリアフリー・環境配慮等高品質な住宅ほど高額の税がかけ られる事になります。
 税収確保第一主義の微収側の発想から脱却し、国民主権国家として、国 民の立場にたった発想の転換が今こそ必要です。
 住宅にかかる消費税について、米国、フランスの非課税、イギリスのゼ ロ税率と国民の取得時負担を軽減する政策的配慮が欧米先進国ではなされ ています。
 硬直化した税制を改革し、時代の変遷に適合した経済の活性化を創出す る社会システムの構築が21世紀の税制の基本と考えます。

二. 住宅ローン利子所得控除制度の創設

 恒久税制として、住宅ローン利子の所得控除制度の創設。
 良質で耐久性の高い住宅取得を促すには、借入金額や控除期間を限定す ることなく、土地・建物にかかる金利を所得控除する制度が必要でありま す。
 米国で過去80年以上に亘って、この制度は何百万人もの家族に大きな 恩恵をもたらしてきました。
 当初、政府関係者は、この制度を導入すると、税収が減少し、予算が足 りなくなるのではないかと危惧されていましたが、実際に施行されると、 住宅所有者における可処分所得の増加によって、いろいろな家財へと消費 は広がり、税収基盤が強化し、経済の活性化に大きく貢献する結果となり ました。

三. 不動産の登録免許税、不動産取得税の軽減措置の延長、恒久税化

四. 新耐震以前の住宅の建替え・耐震改修工事を促進する優遇措置の創設

五. 買い換えに伴う譲渡損失の繰越控除の拡充

 生活環境の変化に伴い、消費者が自由に住み替え・買い替えが可能な譲 渡損失繰越控除の改善。
 ・ 現行所有期間要件(過去5年以上所有)を廃止。 短期の買い換えにも適用する。
 ・ 売却後、借家、ケアー施設等に入居した場合も適用する。

六. 二戸目の住宅取得にも生前贈与の非課税枠適用

 時間を移動する事によって、もう一つの風土という空間を亨受する精神 的豊かさが人間性を育み、文化や伝統の調和されたコミュニティーが形成 されます。
 都市の生活と田舎の生活を共に手にする事が出来ます。
 世界一の金融資産を動かす仕組作りが閉塞した現時の日本には必要です。
 これは金持優遇税制では決してありません。

 以上、六項目について、ご検討の上、是非実現されん事を要望いたしま す。

(編集部)

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