(株)大井製作所が国内初チップキャンター付ワンウェイ製材ラインを開発
一号機は群馬県産材加工協同組合へ
12月7日、近隣の林野行政、森林組合、製材工場関係者を招き発表会開く
 製材機の開発製造一筋、昨年11月に法人設立満60年を迎えた(株)大井 製作所(静岡県島田市中河218、田中 賞社長、・0547-38-2141) はこのほど、「チップキャンター付ツイン帯鋸」製材機と「チップ キャンター付ツイン丸鋸」製材機をワンウェイラインにして構成した量産 型の「チップキャンター付ワンウェイライン」製材機を開発したのを機に、 12月7日午前10時30分から本社工場で、近隣の林野行政、森林組 合、製材工場関係者を招き実演発表会を開催した。
 定刻、招待客が集まる中、発表会は(株)大井製作所の田中秀幸専務の司会 で始まった。
 先ず、田中 賞社長が「お忙しい中、我社の開発機の見学にお越し頂き大 変有り難く思う。この機械開発にあたっては、栃木のミズホ工機さんを通 じお客様と構想を練って今日に至った訳だが、一部を除いては既存の技術 を組合わせた機械である。
 チップキャンターは、欧米製が何台か北海道に入ってカラマツの製材、 或いは北洋材の輸入製材工場でも稼動している。ワンウェイの製材機も秋 田のハイテクウッド様、北海道の横内林業様に入っている。
 我社のスギ、ヒノキの製材機械開発は、10年以上前にロボットツイン バンドソーを、人の目に頼る木取りをセンサーに置き換え無人化するとい う着眼点で開発し、業界の中では随分新鮮な機械だった。そのロボット製 材機も、柱適寸で四面切削を一本サイクル、最高26〜27秒とかなり速 い時間で製材しましたが、実際には鋸を当てている時間は8〜9秒で、30% くらいの鋸断時間しか無かった。一般的には送材車の場合ははるかに 鋸断の時間が少ない訳だが、ツインソーの場合でも、片道で製材して帰り は空で戻り、生産の効率がなかなか上がらなかった状態であった。
 国産製材工場も今後、大型でかつ高効率の方向に向かって行くはず。大 型化を狙う製材経営者が欧米の製材工場を訪問して一様に驚かれるのは、 切削スピードの速さと桁違いの製材量、そしてスムーズな材の流れ。この 製材量の大きさとノントラブルの材の流れを支えているのが、ワンウェイ 製材方式とチップキャンターだと思っている。
 一方、我社では、日本での製材の仕組みの中で、採算性を複雑にしてい るのが、歩留りと生産効率の兼合いだと思う。もちろん歩留りを優先する ことには最大限気を使っているが、歩留りを上げる為の工程と掛かるコス トを秤に掛けた時にどうか…を検証して行こうと思っている。そういうこ とから我社はデイーラー、ユーザーとの打合わせを経て、またドイツのメー カーと連携をして、原木をワンパスで切削し、材の真中から管柱1本、辺 材から間柱4本、それから廃材を同時にチップにする新型製材機を造った。
 この機械以外にも関連した機械で、栃木県の渡辺製材様からアドバイス 頂き、柱の修正挽き作業をより速く効率的に行えるVカットマシンをつい 最近完成させたばかりで、これも非常によい評価を頂いている。さらに、 我社が六年前から開発している木材乾燥機も乾燥の質が求められる時代に なって来て日を追う毎に評価が上がって来ている。
 国産材林業・製材業と共存共栄の立場にある我社の経営理念は、「革新 的な機械システムの創造を通して木材産業に寄与するとともに、森林資源 の循環的利用に貢献するである。何とか、育林・再植林しても林業家にとっ て負担に成らない材価に戻って欲しいし、それによって国産材の流通が倍 増して欲しい。皆様のご批評を是非お願いしたい」と、挨拶を述べた。
 続いて荒浪亘夫常務がチップキャンター付ワンウェイラインの説明を詳 しく行なって後、参加者はヘルメットを被り現場での実演を見学した。
 今回、開発発表された驚異の量産型製材ライン(Vライン=Victory Log Sawing System)「チップキャンター付ツインソーワンウェイライン」 は、チップキャンター付ツイン帯鋸機械とチップキャンター付ツイン丸鋸 機械が接続されワンウェイラインとなった製材システムで、一日で丸太2000 本から適寸角材2000本、間柱8000本、そして製紙用チップ 並びにオガ粉が得られる製材システムだ。原木投入から製材品まで、たっ たの12秒で仕上がってしまうというから凄い。正に驚異的な製材システ ムと言えよう。
 実演は6本のスギ材を使って行なわれた。チェーンライブデッキの上で 自動計測された原木が投入台に入り、先ずオペレーターが背と腹を目視で 確認・位置決めする。その後、原木は木口クランプされ、第1チップキャ ンターへ。そこで左右両側の背丸部分がチップに削られ、続いてツイン帯 鋸盤で間柱用材が左右1枚ずつ挽き出される。挽き加工された太鼓材は、 第2チップキャンター並びにツイン丸鋸盤に直送され、背丸部分はチップ と間柱2枚が切断され、残った真中部分は正角材となって製品化されると いうもの。原木投入から製品化まで僅か12秒、いやはや六本の原木製材 実演はアッと言う間に呆気無く終わってしまった。
 ここで今回、大井製作所がドイツメーカーとの技術提携により開発完成 させた「チップキャンター付ワンウェイライン」製材機の開発コンセプト、 生産能力、特徴、応用例等のお浚いをしておこう。
 先ず開発コンセプトであるが、・製材コスト低減を追求すること。・製 材スピードもさることながら、切削実稼働率を大幅に高めて生産性を倍増 させる。・直進性を重視し、木口チャッキングによる製材を行なうこと。 ・ライントラブルを最小限に抑えること。・誰でも簡単に操作できる機械 であること――が主眼に置かれ開発された。
 その上で開発完成したチップキャンター付ワンウェイラインは、・12 秒に1本の丸太を製材できる。(8時間稼動だが鋸替え他のロスタイムを 見て2000本)・送材スピードは毎分45m。理由は製紙用の適寸チッ プを生産するため。・原木径が16・φ〜28・φ、長さ3・材専用であ る。・オペレーター1名、摘み取り4名(無人化も可能)、リフトマン1 名の計6名で生産できる。・柱角材と間柱材に特化した少人数量産ライン ――の特徴を有しており、ラインを採用しての応用例も、・ワンウェイラ インによる大量生産型製材。・キャンター付ツイン帯鋸盤でのリターンラ インによる量産製材。・エッジャーとの組合せで無垢柱角専門工場。・芯 材の小割機械とのドッキングでラミナ製材ライン――として必要に即した 製材加工システムが組めるという。
 さて、実演加工を見学し終えた一同は、再び発表会場に戻りメーカーと の活発な質疑応答が交わされた。この中で、既に開発され栃木県の(有)渡辺 製材所(渡辺秀夫社長)へ一号機が収められている全自動柱材修正挽機 (Vカット)についても報告され、これまでの修正挽きは材の四面を加工 していたが「Vカット機は直角隣接二面のみを精度良くカットするだけな ので、次号機の四面モルダーは負担も軽くなり精度も向上して、一日1200 本を処理できる」(渡辺社長)と。また、地元天竜森林組合の原田美 弘常務理事から、それだけの原木が集まるのだろうかの問題が指摘される 場面もあったが、中規模の製材工場にはチップキャンター付リターンライ ンシステムも提供可能で、行政サイドからもそうしたシステムの開発要請 があると伊原 広営業部長から付け加えられた。
 担当の荒浪常務も「一号機なので、運転稼動状況を見ながら改善を加え、 より完成度の高い製材システムにして行きたい」と語り、発表会を締めく くった。
 ちなみに大井製作所では、チップキャンター付ワンウェイライン(Vラ イン)を開発したことで、国産材が輸入ラミナに対抗できるための設備と して、全自動修正挽き機(Vカット)、高温蒸気式減圧乾燥機(Vドライ) と共に「Vシリーズ」として積極的に販売して行く体勢が整った。

(編集部)

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