ウッドミックニュース



《能代からの挑戦》
秋田スギの新たな用途開発最前線
秋田県立大学木材高度加工研究所の研究開発の今を見る
既存設備を活かしたフレキシブルな地場生産体制づくりを目指す



▲本館エントランスには木高研で開発された製品の数々が展示されている
 秋田県立大学木材高度加工研究所(秋田県能代市字海詠坂11-1、林知行所長、TEL 0185-52-6900)は、秋田県の木材産業を資源依存型から技術立地型として転換・確立させる基盤づくりを目的に、1995年(平成7)4月に秋田県立農業短期大学付属の研究所として発足した。そして4年後の1999年(平成11)4月、秋田県立大学開設に伴う大学組織改編により、秋田県立大学の附置研究所となった。現在、木高研は、日本の大学機関に属する研究機関として、唯一「木材」を冠した研究所となっている。
――〔中略〕――
 秋田県では、人工林の造スギの活用を考える中で、昔ながらに材料を運び出して製材品を作って売るだけではなく、より付加価値を高めて高度加工された製品を作っていくことが、物流面でもハンデの高いこの地域に即したやり方である、と認識されていた。
 昔の天然秋田スギは、見た目が綺麗で色目も良く造作材としては素晴らしい物であったそうだ。年輪幅が狭くて均一なことが大きな特徴で、内装材の天井材(貼り天)としてはとても優れており、径も太いため二方柾の柱が十二分に取れたとのことだ。
 しかし、今や利用すべきは40〜50年製の造スギの大径材である。木高研では、スギ材に高付加価値を付けた利活用の手段や製品開発を地元企業と連携で進めている。そのいくつかの研究開発を次に紹介しよう。
木高研で秋田スギを使ったCLTの開発が本格的に始まったのは2014年であった。
 林知行所長――「CLTに関しては、当時銘建工業さんや山佐木材さんが先行しており、同じような大量生産方式を目指すのではとうてい追いつけないし、多額の設備投資が必要なので、県内企業がすでに所有している集成材や合板製造用の加工機械に少し手を加えるだけでCLTが作れないかと考えました。これを「低投資型」と呼んでいます」。
 「低投資型CLT」の一例として、合板用平板プレス機を用いる方法がある。合板用プレス機は上下からの圧締力のみのため、これにサイドプレス・エンドプレスを付加的に設置することで、設備投資を抑えつつCLTの製造を可能にする、というものだ。例えば……。

《能代からの挑戦》
構造材・造作材生産から耐力面材「アミパネル」まで
秋田木材産業振興のための切り口を増やす試み
相澤銘木(株)



▲嘗て相澤銘木で挽いていた径2700oのカナダ材

▲耐力面材アミパネル
 秋田には、木材産業の振興発展のため産業界と学界とのパイプ役を担う(公財)秋田県木材加工推進機構(事務局=秋田県立大学木材高度加工研究所内)が設置されており、新たな基盤づくりに向けて官民の密な連携を続けている。これが秋田木材産業界の大きな特徴だと言える。
 相澤銘木(株)(秋田県能代市河戸川字上長沼布33、TEL 0185-52-1361)の網幸太社長は同推進機構の代表理事を務めており、自社でも産学連携による秋田スギの新たな用途開発に余念がない。今年度中にJAS取得を目指しているCLTもそうだが、現在、新たな秋田スギ商品として売り出しているのが、3年前より販売開始している耐力面材「アミパネル」である。
 同社は、1951年(昭和26)に天然秋田スギの製材業として創業した。1959年(昭和36)に貼柾天井板生産を開始し、1975年(昭和50)に化粧貼集成材を、1983年(昭和58)に大断面集成材の生産を開始した。その後、2000年に貼柾天井板生産を終了するが以降、構造用小・中断面集成材、ヒノキ管柱、ヒノキ土台の生産を開始する。
自社開発した国産スギの耐力面材「アミパネル」が国土交通大臣認定を受けたことから、2013年より販売を開始。同社は各種造作材、集成土台・管柱ならびに耐力面材料の生産会社として現在に至っている。
 「アミパネル」は、秋田の人工スギを活用するため生み出された、9mm厚の小幅板を斜め格子状に3層積層した耐力面材である。強い強度と高い剛性を有するねばり強い面材であり、耐力壁としての使用だけでなく、耐力性能を保ったまま内外装や屋根の下地材として建物全体に使うことができる。
 軽いスギ材が格子状になっているため、持ち運びも手でできるほど軽く、現場での切断・加工や施工が簡単。格子の利点は他にも、風にあおられにくいこと(風の強い地域には最適)、格子の隙間を配線等に利用できること、湿気や雨水を格子の隙間から逃がし結露を防ぐこと、などがある。また、面材を継がずに壁を構成できる大きさ、モルタル外壁の場合、木ずり・胴縁といった下地材なしで施工できる作業性の良さ、且つ耐力性能を有していることも大きな利点だ。その発案のきっかけは……。
(続きは本誌をご購読ください)


<

<