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金融庁が銀行融資の査定基準を見直し
3年前既に緊急保障制度の要望として政府与党へ陳情されていた!

 金融庁の銀行融資の査定基準が8月下旬に査定方針が見直される旨発表され、8月17日の日本経済新聞一面トップ記事に掲載された。これは、3年前、2010年5月に木材関連産業9団体により、時の民主党政権に対して要望された対中小企業向け緊急補償制度の内容であり〔本誌2010年7月号に記事掲載〕、融資審査の査定基準の改革の必要性が、当時既に見通されていたことになる。
 時の政府与党への陳情活動は、旧・全木機の副会長であった原口博光氏(日新興産(株)社長)を中心として2002年から十数年来継続されてきた。当初は住宅消費税撤廃を目的に始められ、要望内容も徐々に木材関連 産業全体を網羅したものとなり、賛同団体も最大16団体にまでなった。
 3年前の緊急保証制度要望に繋がった発端は、1999年(平成11)に当時の竹中平蔵金融長官により導入された審査マニュアル、スコアリングモデル作成だった。バブル崩壊後の不良債権処理を目的に始められたものだが、企業への融資審査が格付機関のスコアリングモデルに基づく画一的基準のみで判断されるようになり、大企業の不良債権処理は進んだものの、一方で弊害も起こった。銀行は、金融庁の査定を恐れて融資に積極的でなくなり、技術力・成長力はあるのに決算上の数字だけで中小企業やベンチャー企業はお金を借りられなくなった。こうして、嘗て企業と地域銀行との信頼関係の上に成り立っていた、企業の「無形の資産」(技術力、企業力)が計上されなくなり、多くの将来有望な企業が融資を受けられずに倒産に追い込まれている。
 このままでは、国の資産ともなる有望な中小企業が正当な評価を受けられないまま失われてしまう。そこで原口氏を中心とする木材関連九団体は、融資審査に関する抜本的改革案「景気対応緊急保証制度」を要望した。2010年5月のことである。
 時の政権は民主党であり、要望書は、当時の民主党副幹事長(経産担当)衆議院議員 吉田おさむ氏と、経済産業省政務官参議院議員 高橋千秋氏に提出されている。参画業界団体からも、旧・全木機の橋本恭典会長(当時)、日合連の川喜多進専務理事、繊維板工業会の涌田良一専務理事(当時)が原口氏と共に提出に赴き、緊急措置が必須であることを強く訴えられた。その内容は、

■硬直化した融資審査の抜本的改革
3年以上の取引関係がある金融機関が融資申請企業の審査を行ない、保証協会はその査定を行なうに当たって、企業訪問、経営者と面談し「過去・現在・未来」について、経営理念、企業の社会的責任に基づき査定し、融資額並びに実行の可否を行なうものとする。
 この制度は、平成11年に金融監督庁が竹中長官の下導入した検査マニュアルによってスコアリングモデルとしてソフト化され、格付機関のツールとして、保証協会の融資審査の根幹となり、機械的に企業価値が審査されることになってしまった。
 地域に密着した金融機関が、財務上の利益(決算書)以外のCSR(企業の社会的責任)を通して、種々の情報(経営者の理念・人格)によって、企業の実力や社会的ニーズへの取組を測定し、融資を行なってきた企業風土がある。
 企業やその製品が市場で培ってきた「過去・現在・未来」の「無形の資産」は、日本文化の根幹を成すものであり、保証協会の外部委託によって、ソフト化されたシステムで硬直的に審査するものではない。

☆     ☆

 今8月の金融庁検査基準の見直しでは、不良債権処理優先の制度を方向転換し、原則として銀行の自己査定を尊重するようになる。秋に三大メガバンクから適用を始め、徐々に地方銀行へ拡大していく。技術力・将来性・潜在成長力が見込まれる中小企業、ベンチャー企業への新規融資増加が期待されている。
 これは正に、3年前に緊急保証制度として要望された内容である。この大きな制度の方針転換は、我が木材関連産業が行なっている団体活動が、大局で世の流れを見据え、木材産業の発展を目指すための誇りある活動であることの現われであろう。
 政府関連省庁への陳情活動は、旧・全木機の旧・中木機との統合と、原口博光氏の日本木工機械協同組合理事長就任に伴い、その活動主体を日本木工機械協同組合へと移行している。
 しかし、主体は変われども、原口氏の活動の原点は常に不変である。今後も木材産業界の未来のために、関連諸団体の団結の力と、日本の問題点を打破する要望活動を魅せてもらいたい。
 最後になるが、当該要望は、民主党政権時に日の目を見ることはなかった。
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