■時の話題(特別寄稿)
  平成21年度 林野庁関係補正予算(木材産業関連)の概要について

 林野庁林政部木材産業課課長補佐(生産加工班担当) 唐澤 智
■はじめに
 100年に一度ともいわれる昨年来の不況に対応し、景気の底割れを防ぐこと等を目的とした「経済危機対策」の 総額15兆円に及ぶ平成21年度補正予算が5月末に成立しました。
 林野庁関係では、公共・非公共合わせて総額2537億円の予算であり、平成21年度当初予算(3787億円)の3分の2 にあたる大規模なものとなっています。
 今回は、この平成21年度林野庁関係補正予算のうち、木材産業に関連する予算、特に施設整備関係を中心に、 その概要について解説します。


■森林整備加速化・林業再生事業
クリックすると拡大できます
 林野庁関係補正予算の内訳は、森林の整備・保全を行う公共事業で1000億円、林業・木材産業の再生で1459億 円、林業経営に対するセーフティーネットの拡大で78億円となっています。(図1)
 このうち木材産業関連は、森林整備加速化・林業再生事業(緑の産業再生プロジェクト)として1238億円の予算 額となっています。(図2)
クリックすると拡大できます
 このプロジェクトでは、都道府県に基金を造成し、間伐、路網整備、高性能林業機械の導入、木材加工利用施 設整備、木質バイオマスや間伐材の流通の円滑化、木造公共施設整備等の地域材の利用の促進等の基金事業を地 域で一体的に行うものであり、平成23年度末までの3年間の事業実行が可能となっています。(図3)
 都道府県では、地方公共団体、森林組合等の林業事業体・林業経営体、木材加工業者、木質バイオマス需要者 等の幅広い関係者からなる地域協議会を設置し、間伐の実行量や間伐材等の利用施設 クリックすると拡大できます
の整備状況など地域の実情に応じた全体事業計画を策定します。この計画に基づき国から基金の造成額が交付され、 クリックすると拡大できます
この基金から事業を実施する地域協議会の構成員に対して助成を行うこととなります。(図4)
 このため、今回の補正予算で事業を行う者は、この地域協議会に参加することが必須となり、事業内容が都道 府県の全体事業計画に位置付けられる必要があります。また、事業期間は3年間となっておりますが、全体事業計 画策定と基金の造成は今年度中であり、事業を予定される方は早めの対応が必要です。






(▲詳しくご覧になりたい図をクリックすると拡大できます。
 なお、前のページに戻る場合は、windowの「戻る」 ボタンを押して、お戻りください。)






■木材流通加工施設等の整備
 本事業による木材流通加工等施設整備の実施に当たっては、現行の交付金事業「森林・林業・木材産業づくり 交付金」の考え方を基本としています。
 事業種目については、地域で生産される間伐材等の利用拡大を図るために必要となる施設を対象として、森林 整備により生産された間伐材等の原木をストックするための「ストックポイント」及び、間伐材等を利用するた めの「間伐材等加工流通施設」の整備を行うこととしております。具体的には、
 ・ 林業生産施設(山元貯木場関係、フォークリフト、グラップル付きトラック等)
 ・ 木材処理加工施設(製材、集成材、合板、チップ、プレカット等の加工流通施設)
 ・ 木材集出荷販売施設(貯木場関係、販売施設関係、フォークリフト等)
 ・ 森林バイオマス等再利用促進施設(チッパー等バイオマス加工施設等)
が補助の対象となります。
 事業の実施主体については地域協議会へ参画している者であることとしており、補助率は全て2分の1以内です 。現行の交付金事業等では補助率3分の1の民間事業者についても、今回は「地域材を利用する法人」として2分の 1以内の補助率となります。
 なお、事業費については、適切な施設整備となるよう、整備する施設ごとに間伐材等の消費量・製品出荷量に 応じ、例えば製材施設については間伐材等使用量(原木換算・計画量)1立方メートルにつき5.5万円まで、といっ た上限建設費を設定しております。
 その他、本事業では間伐材等の集材・造材・運搬に必要なプロッセッサ、ハーベスタ等の高性能林業機械の導 入に対しても支援を行うこととしており、補助額は事業の実施主体の素材生産能力に応じ1000立方メートルあた り200万円(2分の1以内)としております。


■採択要件及び留意事項
 採択要件については、現行の交付金事業「森林・林業・木材産業づくり交付金」の考え方を基本として、以下 の要件を都道府県に示しております。
 ・ 当該加工部門における間伐材等の利用量(流通量・加工量・乾燥量)の目標が原則として都道
  府県の目標数値以上であること又は目標数値の伸び率以上であること。
 ・ 地域協議会の体制のなかで、施設規模に見合った間伐材等の原料調達、製品販路の確保等が
  図られていると認められること。
 ・ 間伐材等の原木消費量がおおむね1万立方メートルを超える事業実施主体にあっては、JAS認
  定の取得に努めるものとする。
 ・ 一事業費はおおむね500万円以上とする。また、事業費で5000万円以上のものについては、経
  営診断を受けるものとする。
 ・ 事業計画が過大とならないよう、一施設当たりの総事業費は15億円を上限とする。ただし、
  都道府県知事が、やむを得ない事情により上限を超える必要があると認める場合は、この限り
  でない。


 その他、自力や他の助成によって整備に着手した施設を本事業に切り替えて実施することは認めないこととし ているほか、建物は原則木造、施設規模が計画に対して過大なものは認めない、施設の追加制限などの制約があ ります。
 また、民間事業者である「地域材を利用する法人」が施設整備を行う場合については、山側の森林所有者、素 材生産業者等と木材安定取引協定の締結等が要件になりますが、この協定には、樹種・取扱量・期間等必要な事 項を定めるものとし、当該協定等に係る間伐材等の利用量は、事業計画量の概ね70%を超えることとしております。


■おわりに
 以上、施設整備関係の概要を解説しましたが、細部については都道府県の林務担当課または林野庁木材産業課 までご相談下さい。
 補正予算の事業は「経済危機対策」として予算額も大規模であり、都道府県の地域協議会を通じた基金事業で 、補助率も2分の1以内とするなど使いやすいものになっておりますので、施設整備を予定されている方は是非、 ご検討いただきたいと思います。
 今回の事業を通じて、森林整備の加速化が図られるとともに、間伐材等国産材の利用が拡大されることを祈念 しております。


 ▽記事提供=林野庁林政部木材産業課課長補佐(生産加工班担当)唐澤 智氏、TEL03-6744-2292

戻る